犬が猫を噛んじゃった(猫が犬に噛まれた)とき

2020年12月3日生活

暑さで溶けそうな司法書士の坂口です。
うちのネコは24時間クーラーが稼働している部屋で今日も元気にはしゃいでいます。
(暑いので事務所に連れてくるのを躊躇っている)

愛猫が犬に噛まれた!(愛犬が猫を噛んじゃった)

雑種で老齢の飼い猫は市場価値がないとされています。では、そういったネコを犬が噛み殺してしまったときは、賠償する必要がないのでしょうか。

1審を不服として

放し飼い状態の犬が突然飛び出して、ネコが噛み殺されてしまったという悲しい事件です。
しかも簡易裁判所の判決(6万3,000円+遅延損害金)を不服として地方裁判所へ控訴している事件です。(大阪地裁平成21年2月12日判決)

飼い犬側の主張

1)老齢で雑種なので財産的な価値はないから、飼い猫側の財産権が侵害されたといえない。
2)事故後にちゃんと謝罪したし、犬の管理を強化してる。慰謝料の請求額も多すぎる(130万円)。
3)猫にリードをつける・抱きかかえることをしていなかったという過失がある。それに敷地外へ逃走してることも飼い猫側は知っていた。

裁判所の判断

  1. 市場価値がないからといって財産的な価値がないとは言えない。そもそも猫は単なる動産以上の価値がある。
  2. 一般的に財産的損害が賠償されれば精神的損害も一応回復されるものの、それだけでは被害者の精神的損害が補填されないケースもある。
    18年も飼育し、手術や入院など大切にしていたのに、目の前で噛み殺されてしまった。飼い犬側は事故当日、ネコが瀕死だったにもかかわらず簡単な謝罪だけで済ましている。
    深い絆で結ばれていたことから精神的苦痛は甚大で、慰謝料は20万円が相当である。
  3. 偶然リードの金具が抜け落ちたという主張も器具管理を放置していたことになり、放し飼いになっているからといって、犬と違って猫は外出時にリードを繋ぐ習慣は一般にはない。
    飼い犬側の注意義務違反の程度も著しいので、過失相殺はふさわしくない。

判決として

飼い犬側に対して20万円と年5%の遅延損害金を支払えという判決がくだされました。

おわりに

生き物を飼うということは、可愛がるだけではなく責任もセットになるということです。
こういった悲劇が生まれることのないように、日ごろからしっかりと責任と愛情をもって一緒に暮らしたいですね。

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