血液クレンジングってなにもの?
ツイッターのトレンドに入っていた「血液クレンジング」なるワード。
気になったので調べてみることにしました。
血液クレンジングとはどのようなものなのか
何の手がかりもないので、まずはインターネットで検索してみました。
すると、検索画面には各ウェブページのタイトルが表示されるのですが、気になることが。
Rと付記された血液クレンジング
血液クレンジングRというタイトルのものも見受けられました。
このRってもしかしてと思い、当該ページを閲覧してみると、®のマークを目にしました。
この®マークは登録商標であることを示しています。
そこで、特許情報プラットフォーム(J-Plat Pat)で検索を掛けてみます。
すると、4件がヒットしました。
2007年に登録されている方は個人ですね。
血液クレンジングと紐づけて検索をしてみても、これといった結果はありませんでした。
株式会社ファインエイジング
こちらの商号で検索すると、血液クレンジングと関係ありそうなことが窺えるサイトがヒットします。
会社概要を見ると中小企業診断士・行政書士の資格を持つ方が代表のようです。
なにか関係あるんだろうかと思いつつ確認すると
高度管理医療機器等販売業・貸与業 許可取得(許可番号 31新保衛薬第45号)
(株式会社ファインエイジングより引用)
血液クレンジング療法導入コンサルティング・遺伝子治療導入コンサルティングと並行して、医療機器等の販売もしていると書かれています。
下記日本オゾン・水素療法協会とは関係性がないように見受けられました。
森吉臣氏
この方は医療法人の理事長(院長)をされているようですね。
一般社団法人 日本オゾン・水素療法協会(旧血液クレンジング普及会)の会長も兼任されています。
血液クレンジング療法(血液オゾンバイタル療法)を謳っているところの問題点
世界約70カ国、約5,000誌以上の文献を検索できる医学・生物学文献データベースであるPubMedで検索してみると、「ozone autohemotherapy」で72件、「Ozone therapy」で3,360件ヒットします。
すべてに目を通すことは不可能ですが、少なくともオゾン療法自体は存在していることが窺えます。
一般社団法人日本オゾン・水素療法協会と森吉臣氏
先ほども登録商標のところで森吉臣氏に関連して触れた一般社団法人日本オゾン・水素療法協会ですが、社団法人格を持たせて普及に取り組んでいるように見受けられます。
そこの代表・監修が森吉臣氏です。
プロフィールとして医学博士であり、医療法人社団健若会理事長となっているのですが、医療法人の理事のうち1人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出することとされています(都道府県知事の認可を受けた場合には、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができます。)
第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。
2 (略)
(医療法人法第46条の6第1項)
厚生労働省の医師等資格確認検索で森吉臣氏がヒットしない以上、この都道府県知事の認可を受けたケースに該当するのでしょう。
実際、登記情報提供サービスで調べる限り、氏は理事長として登記されていました。
従って、氏が医師免許を持っていないということを指摘している方もみえるようですが、少なくとも、医療法人の代表となることについては問題ありません。
医学博士と博士論文
医学博士号のみで医師免許を持っていない方も、日本の医学研究科の編入制度等を考えるとありえる話です。
医学博士号を取得するためには、医学博士論文の審査に合格していることが必要となります。
そこで、どのような論文を書かれているのか確認しようとCiNiiのサイトで検索してみると、
検索結果: 0件
該当する文献は見つかりませんでした。
ん?
もしかして、かなり昔に取得されたからデータベースに登録されていないのかもしれないと思ったのですが、別の方で検索すると1924年のものでもヒットしています。
これはデータベースのエラーなのか、そもそも氏は博士号を取得していないのか。
一般社団法人日本オゾン・水素療法協会の代表・監修であるならば、この血液クレンジングは医療行為である以上、少なくとも医学博士号を持っていないと説得力はありあせん。
効果効能とその証拠
なんらかの効能を謳うのであれば、その根拠はどこにあるのかというのはとても大切なことです。
花粉を水に変えるマスクや水素水なども、少なくとも私はしっかりとした根拠を見つけることはできませんでしたし、あれだけブームだったにも関わらず、気が付いたらまったくといっていいほど目にしなくなりました。
この血液クレンジングについて、一般社団法人日本オゾン・水素療法協会では効能として
対象は健康な人から、未病の人、そして病気の人まで。
慢性疲労・冷え性・腰痛・肩コリなどの不定愁訴から、現代医療ではとても完治できない難病まで効果があるのですから、医師の私が驚くほど広範囲に効果があります。
(日本オゾン・水素療法協会(旧血液クレンジング普及会)
血液オゾンバイタル療法(血液クレンジング療法)とは? より引用)
と謳っています。
このような内容から考えるに、消費者庁は不実証広告制度(景品表示法第7条第2項)により、この社団法人をはじめ、血液クレンジングを謳っている医療機関等に対して、根拠資料を提出するように要求した方がいいように思います。
景品表示法
(景品類の制限及び禁止)
第四条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。第七条 内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。
一 当該違反行為をした事業者
二 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四 当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者
2 内閣総理大臣は、前項の規定による命令に関し、事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。
また、あくまで個人的な意見に過ぎないですが、血液にオゾンを反応させるとなると、溶血しそうですし、その過程等で発生した酸素が溶血していないヘモグロビンに結合することによって、脱酸素化ヘモグロビンから酸素化ヘモグロビンとなるため綺麗な赤色を呈し、サラサラになっているに過ぎない気がします。
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