LGBT(LGBTQ)と養子縁組(死亡届について)
うちのネコはこの暑さでも食欲旺盛なままです。
24時間空調のきいた部屋で過ごしているので非常に羨ましい坂口です、こんばんは。
養子縁組とは
血縁関係のない当事者同士に親子関係をもたせるための制度が養子縁組です。
養子縁組のための要件
過去に次のような記事を載せています。
お互いに成人していて、かつ独身であれば、届出をすることによって年上の方が年下の方を養子にすることができます。
(年下の方から見たら、年上の方が養親となります)
この養子縁組については性別の制限はありません。
つまりLGBT(LGBTQ)当事者がパートナーと養子縁組することも当然可能です。
養子縁組と相続
養子は実子(血縁関係のある子ども)と同じく相続人となる資格をもっています。
つまり、養親にあたるLGBT(LGBTQ)パートナーが亡くなったときに相続人となり、各種の手続きや遺産を受け取ることができます。
養子にあたるLGBT(LGBTQ)パートナーが亡くなったときも、その養子に子がいないのであれば、相手は相続人の資格があります。
相続人について
子は常に相続人となります。
子のいない方が亡くなったとき、その親がご存命であれば親が相続人となります。
(配偶者については常に相続人となるため、省いています)
したがって、養親にあたる方が亡くなったときは、養子が相続人となるためLGBTパートナーの親は相続人の資格はありません。
逆に養子にあたる方が亡くなったときはどうなるのでしょうか。
実親と養親
血縁関係のある子を実子、養子縁組による子を養子というように、血縁関係ある親を実親、養子縁組による親を養親といいます。
養子にあたる方が亡くなったとき、その養子に子がいないのであれば親が相続人となります。
親とは、実子・養親両方を指します。
つまり、この場合はLGBTパートナーのみが相続人となるわけではなく、存命中の実親と一緒に相続人という立場になります。
相続人という立場があると
亡くなったときに必ず届けなければいけないのが死亡届です。
この死亡届については、次のような決まりがあります。
戸籍法
第八十七条 左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
2 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。
一緒に住んでいる親族・同居人・家主や管理人は届出の義務があります。
また、義務ではないですが、同居していない親族や後見人なども届け出ることができます。
裏を返すと、同居をしていないパートナーが亡くなったとき、死亡届を役所が受け付けてくれない可能性が極めて高いという弊害があるということです。
仮に養子縁組をしていれば、親族となるため同居をしていなかったとしても死亡届を提出することができます。
死亡届を提出しないと
墓地、埋葬等に関する法律
第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
死亡診断書などとともに役所に死亡届を提出してはじめて、火葬・埋葬することができます。
(勝手に火葬・埋葬してしまうと、刑法の死体損壊・遺棄罪となってしまいます)
葬儀屋さんなどにお願いするときに、この死亡届も一緒に提出してもらうために委任状を書くことになるのですが、さきほど列挙した人からしか委任できません。
まとめ
LGBT(LGBTQ)当事者の方で同居をしていないときは、このように死亡届を提出することができない可能性が極めて高いです。
(役所によっては受理してくれるケースもあるかもしれませんし、パートナーシップ証明書を発行する渋谷区については、個別に確認する必要はあります)
同居をしていないのであれば、遺産といった問題だけではなく死亡届という点からも養子縁組をしておくと安心かもしれません。
※LGBT(LGBTQ)パートナーに子があるときにおける相続人の判断は、また別の機会にご紹介いたします。
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