コレクションなどを家族が勝手に売ってしまったとき

生活

グッズやコレクションを勝手に売られたり捨てられたとき

インターネットの海を泳いでいると、旦那のコレクションがいくらで売れましたなんていうものを目にします。
そういったテレビ番組もあるようですね。
こういったものを目にするたびに、とても悲しい気持ちになります。

勝手に処分すると

結婚前の財産は、家族の共有ではなく個々人のものです。
夫婦であっても、相手のものを勝手にどうこうするということはできません。
勝手に奪って捨てたり売ったりという行為は窃盗に該当します。
(管理を任されているのであれば横領)

家族間の犯罪

刑法には親族相盗例(刑法244条など)があり夫婦や親子、同居の親族に対しては罪を免除するという規定があります。
ここで重要なのは、処罰に関する特例であって犯罪の成立を否定するというものではありません。(最決平20.2.18)

したがって、刑事事件として罪に問うことはできなくても民事事件として損害賠償請求は可能ということです。

良かれと思って

良かれと思って本人にかわって代理で処分したという主張があったときはどうなるのでしょうか。
本人がそんな代理をお願いしていないとなると、そもそも相手は無権代理といって代理するという権限がないにもかかわらず勝手に思い込みで代理行為をしたということになります。

このとき、勝手に処分した側に過失があるという認定がなさると損害賠償の責任を負うことになり、この損害賠償については先ほどの刑法のような免除という規定はありません

売ったときのお金

結婚する前のコレクションであれば夫婦共有の財産ではないということになるのですが、捨てたのではなく売ったとき、そのお金は誰のものなのでしょうか。
もちろんコレクションを所有していた人のものであり、勝手に売った人に対しては「法律上の原因がないにもかかわらず金銭を受け取っている」ということになるので「不当利得」に該当し、この不当利得に対して返してくれという請求ができます。
家族間で請求というのも少々変な話ではあるのですが、売却代金は結婚前のコレクションである以上、固有の財産です。

売られてしまったものを取り戻すことはできるのか

中古品を扱っているお店で売られていることが大半だと思います。
しかし、単純に売るという内容でも「どのような立場で売ったのか」によって一部結論が変わってきます。
ひとつは「自分はあくまで代理人であるという立場で売った」とき。そしてもうひとつは「自分のものではないので法律上売るという権利がないことを知っていて売った」とき。

ただ、実際は勝手に売っている以上、基本的には後者に該当することが大半ではないでしょうか。
このとき、お店やお店から買った第三者は一般的に事情など知りませんから、お金を払わないと戻ってこないということになります。

さいごに

断捨離が流行ったりしている影響かもしれませんが、「断(わりもなく)捨(てて)離(婚)」という言葉も生まれているくらいです。
いくら夫婦間といえども(それが結婚後に購入していたものであったとしても)勝手に処分することは、お互いの感情に亀裂が入ってしまう行為です。無断処分は決してしないようにと願います。