隣家の木の枝や根っこが邪魔で切りたい
5月5日はこどもの日ですが、最近鯉のぼりを昔ほど見かけなくなった気がする司法書士の坂口です。
あの歌も最近の子はもしかしたら知らないのでしょうか。
木の枝や根っこを勝手に切ってもいいの?
空家が増えているために手入れがしっかりと施されず、お隣の家に生えている樹木の枝が伸びてきてすごく邪魔だという悩みを耳にしたことがあります。
誰も住んでいないのだから……と思われるかもしれませんが、こういった木の枝を勝手に切ってもいいのでしょうか。
民法と隣地について
民法の相隣関係という項目で、こういった隣地との兼合いについてしっかり定められています。
竹木の枝の切除及び根の切取り
(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
境界線を越えた根っこの場合は「切り取ることができる」とあるのに対して、境界線を越えて竹木の枝が侵入してきたとき、できることは所有者に「その枝切ってください」と言うだけです。
枝を切って欲しいという請求
木の枝が侵入してきたときは、どんな場合でも相手に切って欲しいと請求できるのでしょうか?
実害を被っていたり、このままだと実害を被る可能性が高いときであれば問題ありません。
しかしそのような状態ではない場合に「切って欲しい」と請求すると権利の濫用といって、請求できる権利を不当にふりかざしていると考えられてしまうことがあります。
また、枝を切ってしまうと木が枯れてしまうというように木の所有者が大きな損害を被ってしまうようなときも、切って欲しいと請求するのは難しいです。
このようなときは請求する側の損害に応じて補償を認めてもらえることがあります。
根っこを切り取るときの承諾は必要?
木の枝とは違って、根っこの場合は所有者に了解を得る必要はありません。
もちろん、境界からはみ出た部分だけしか勝手に切ることはできないことに注意しないといけないです。
所有者がわからないときは
隣に誰も住んでいないので誰が所有者かわからないときはどうすればいいのでしょうか。
不動産登記簿(登記事項証明書)
誰でも法務局に備え付けの申請書に不動産の所在地などを書いて、所定の印紙代を支払うと土地や建物の登記簿(登記事項証明書)を取得できます。
登記簿には所有者の住所と名前が書かれているので、そこに宛てて手紙を出してみると連絡がとれるかもしれません。
勝手に木の枝を切ってしまったら
話し合って切ってもらうことが理想です。
しかし、相手が応じてくれないので勝手に木の枝を切ってしまったらどうなるのでしょうか。
お互いの関係がこじれている状況だと、もしかしたら相手は損害賠償を請求してくるかもしれません。
木の根と違って枝は勝手に切ってもいいという根拠がないため、不法行為になってしまうことがあるからです。
どうしても切って欲しいとき
どれだけ相手に話しても切ってくれないときは、裁判上の手続きがあります。
訴訟や調停ですね。
しかし手間も費用もかかります。
裁判を通じて木の枝を切るとなると、禍根が残りやすいです。
お隣さんどうしなのですから、可能な限り切ってもらえるように話合いをするのが一番です。
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