司法書士試験における記述式(書式)への取り組み方

2020年1月31日資格試験

予約投稿とは便利なもので、時間があるときに書き溜めておけます。
この機能があるからこそ、こうしたブログが続けられる気がしますし、なければ投稿日時にすごく偏りが出そうです。

2020年1月27日追記
このブログの内容をまとめて、より詳細に気を付けるべきポイントを電子書籍として出版致しました。
ご参考いただければ幸いです。

司法書士試験における不動産登記法と商業登記法の書式について

特に隠していたわけではないのですが、某予備校の模擬試験(答練)書式添削業務を依頼されて今年で7年目となりました。
試験直前期に入っているので、一度立ち止まってご自身の書式に対する向き合い方を考え直していただきたく、以前はてなブログに記載していたものをこちらに引きなおして投稿します。

不動産登記法(書式)

体感にすぎませんが、商業登記法よりは高得点を狙いやすいと思います。
その為に注意すべきことは次のとおりです。

連件を強く意識する

ほぼ確実に言えることは、いわゆる連件崩れを起こしてはいけないということです。

たとえば、最初に所有権登記名義人住所変更登記(名変登記)を申請する必要があるにもかかわらず、これを見落としてしまうと連件の枠がズレてしまいます。
本試験での採点基準は謎に包まれているとはいえ、実務においてもこの申請を飛ばしてしまうと補正ではなく取下げとなるため、連件外しは致命的なミスと考えておくべきでしょう。

名変登記の省略要件についてもしっかり把握する必要があります。

この他にも生前売買などにおける前提としての相続登記の要否なども連件に関係するため、特に意識しなければなりません。

また、一の申請で足りるか分けなければいけないのかなど、連件にかかる注意点はたくさんあります。
ここを蔑ろにしてしまうと、折角実体判断は見抜けていても加点されないということになってしまうので、根気強く勉強をするとともに試験においても意識しましょう。

根抵当権の元本確定判断

根抵当権が出題されている場合は、元本が確定しているか否かの判断がセットになってきます。
この判断を誤ると後件の申請や登記できない事項欄を間違うという連鎖を引き起こします。

元本確定の判断が合否を分けるといっても過言ではありません。

正確に判断できるようにしておきましょう。

そのためにも、事実関係だけではなく登記記録に確定期日が記録されているかどうかに注意を払わないと、足元をすくわれてしまいます。

先の連件とも関係しますが、元本確定登記の要否についても把握しておかないと枠が外れてしまう事にも注意が必要です。

相続人の判断と相続分

相続が論点になっているときは相続人の判断が重要です。

相続人の判断を誤ると、後件の申請において義務者が変わってきてしまうため、申請人や添付情報もミスをしてしまいます。

数次相続と代襲相続における相続人の違い、相続放棄などに気を付けましょう。

注意書きについて

実体判断はできていても注意書きを読み飛ばしているがために連件の順番を間違うことがあります。
また、申請人の住所や法人の代表者名、会社法人番号などの記載が要求されているのか省略してもいいのかといったことにも意識を向けないと、余剰記載や記載不足となります。

いつもの通りと流し読みをしすぎないようにしましょう。

まとめ(不動産登記法)

不動産登記書式を解くときには、実体判断と連件の組み方に時間を費やしましょう。
連件を外してしまっては合格が絶望的となります。

細かいひな形が要求されている部分については、どのような申請が必要かということを試験官に伝わる程度で構いません。
正確に記載できていない限り加点されない可能性が高いです。

この試験では満点を要求されているわけではないので、細かいひな形にこだわっていると時間不足に陥る可能性があります。
どこに時間をかけるのかも合否に強く影響を与えることを意識しましょう。

商業登記法書式(書式)

不動産登記法との違い

不動産登記では連件を強く意識するように記載しました。
商業登記は(実務の場合は稀にありますが)いわゆる連件申請を要求されることはないと思います。(経由同時申請を除く)

しかし、たとえば先に募集株式を発行するといった株式数に影響を及ぼす行為があったときには、後の申請で登記申請可否や株式数などを間違えてしまうことになります。
不動産登記と同様に注意を払う必要があります。

役員に関して

採点基準が明確になっていないため断言はできませんが、役員に関する配点は高いと推測されます。
(実務において役員の登記を間違えるというのは論外ですから)

特に次の点に関しては強くアンテナを張っておくに越したことはありません。

機関設計
権利義務
兼任禁止
会計監査人のみなし重任
取締役会設置会社の定め廃止による代表権付与
「退任」「資格喪失」「資格喪失により退任」の別
仮会計監査人
その他
支店・支配人(支配人を置いた営業所移転・代理権消滅等)

まとめ(商業登記法)

キーワードに対して何をチェックすべきかというのは、かなり定型化しています。
そういったカードをどれだけ揃えられるか、引き出せるかが勝負です。

時間不足になってしまったとしても、確実に加点を確保できるところを優先的に記載しましょう。
(たとえば、「登記すべき事由」や組織再編系における消滅会社等)

焦ったら負けです。
択一を含めて時間配分にも気を配れるよう模擬試験で練習しておくことをおすすめします。