チケット転売禁止法のお話

2019年2月15日生活

暮れも押し詰まりバタバタとしています。
うちのお猫様は事務所に連れてこないことが多くなりました。そして自宅の炬燵で丸まっています。私も炬燵で丸まりたい。

チケット転売禁止法

ツイッターなどで話題になっていたチケットの転売を禁止する法律が成立しました。
具体的にどのような行為が禁止されているのかについて、解説していきます。

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律
(特定興行入場券の不正転売の禁止)
第三条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。

この条文だけ見ても、「特定興業入場券」「不正転売」がイマイチわからない。
第二条に定義が記載されていますが、それを分解して関係あるところをピックアップしていきます。

禁止される対象

この法律禁止される不正転売の対象は「特定興業入場券」ですが、具体的にはどのようなものを指しているのでしょうか。

興業とは

そのそもこの法律で興業とは日本国内で行われる映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定多数の人に視聴させることを指します。
一般的な芸術やスポーツに関係するものをイメージすればよさそうです。

興業入場券とは

興業を行う場所に入場するためのチケットを指します。

紙のチケットに限られず、記号番号などで特定するものも含みます。
最近はたとえばQRコードなどのように入口でスマートフォンを提示して読み取ってもらうといった形式のものもあるので、このようなチケットについてもしっかり対象となるように定められています。

特定とは

わざわざ「特定」とされていますが、どのようなものを指すのでしょうか。
すべてのチケットについて不正転売が禁止されているわけではなく、次に該当する場合のみその対象となります。

  • 不特定多数に販売されるたぐいのものであること
  • 特定の日時・場所・入場資格者や座席指定がなされているチケットであること
  • 興業の主催者や、主催者の同意をもらって販売している会社から購入するときに興業主の同意なく有償譲渡を禁止することをチケットに明記されているもの
    (紙媒体だけに限らず、通信端末に表示される形式のものも含まれます)
  • 興業の主催者や、主催者の同意をもらっている会社が、販売するときに購入時に氏名などの連絡先(メールを含みます)を確認し、その内容がチケットに明記されているもの
    (こちらも紙媒体だけに限りません)

一般的な入場券で、購入者の本人を確認するために氏名や連絡先などを購入時にチェックした上でチケットに明記されているものをイメージすればよさそうです。

不正転売とは

急遽行けなくなってしまって格安で譲ったりするときも規制対象になってしまうのでしょうか。
この点についても定義されています。

価格について

興業主の販売価格を超える価格で販売することが、要件として挙げられています。
つまり、同額またはそれ以下だったり、無償で譲るときには規制の対象とはなりません。

どうしても行けなくなってしまったときに、販売価格より高値で譲る人はあまりいないと思います。

同意と業

興業主の同意を得ていないことはもちろんのこと、それを業としているときに規制対象となります。

「業として」というのはわかりにくいかもしれませんが、「反復継続しようとして行う意思がある」ときと解釈されます。具体的には転売行為で継続的に利益をあげようという意思があるときに、この不正転売に該当すると考えればよさそうです。

譲り受ける側は違法行為になる?

転売する側だけではなく、転売されているものを購入する人はどうなのでしょうか。

第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

この法律では、転売者だけではなく、そこから購入する人も規制の対象となっています。
不正転売とわかっていて購入する行為も取締りの対象となるので注意しましょう。

罰則

不正転売に対してどのような罰則が設けられているのでしょうか。

第三条又は第四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

このように、しっかりと罰則規定があります。

不正転売はツイッターなどを含めて問題となっていました。
この法律に基づいて、チケットなどが適正に流通するようになって欲しいところです。